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映画嫌いの私が50回近くも映画館に通った理由―キンプリと私

1.出会い
KING OF PRISM by PrettyRhythm(以下キンプリ)との出会いは、Twitterのフォロワーさんを通じてだった。
1月のある日、彼女は遠路はるばる岡山から私の住む広島まで映画を観に来ており、その後に私とオフ会をすることになっていた。
私が彼女に「なんの映画を観たんですか?」と尋ねると「KING OF PRISMというアニメで、女児向けアニメのスピンオフで男性キャラ主体の作品です」といった説明が返ってきた。
"女児向けアニメ"、"男性キャラ主体の作品"、いずれも私の興味の範囲外の単語だったのでその時は聞き流していた。

2.興味
それからしばらくして、その作品―キンプリの情報をTwitterでチラチラと目にするようになった。
『ああ、彼女が言っていた作品だ』
うっすらと蓄積されていく情報に少しずつ興味を引かれながらも、まだそれは私の興味の範囲外の出来事でしかなかった。
2月中旬、再度そのフォロワーさんに会い、キンプリの話題になった。
彼女の熱を帯びた説明、ネット上に錯綜する"空から剣が降ってきて""EZ do danceが流れる中、龍が舞って腹筋が割れる""尻から蜂蜜""電車に乗ってハリウッドに行って星座になる"などという意味の解らないワードがまぎれもない真実であることが彼女の口から語られる。
これはこの目で確かめなくては…と興味を持つに至ったのはこの時であった。

3.邂逅
かくして、2月下旬、私はキンプリの通常上映を観に、普段は全くと言っていいほど縁がない映画館にいた。
まず、キャラクターのメッセージが流れる。どうやら劇場でスタッフさんに渡された投票用紙でキャラクターに投票することができるらしい。
作中の登場人物と思しきキャラクターがグイグイと自己PRをしてくる。

完全にアウェイな雰囲気である。

来るところを間違ったかな…と思っているとメッセージが終わり、本編の映像が流れ始めた。
楽し気な音楽に乗って歌い踊るアイドルのような三人組。
「へぇ~これがプリズムショーっていうのかぁ」
主人公の少年が目を輝かせて言う。
ああ、この主人公の目線で見ればいいのか。これはプリズムショーというものなのだなと私は思う。

すると、ステージの上のアイドルの一人がまるで必殺技のようなものを繰り出した。
「キュンキュンキュン~♡」
主人公はその技を受け、なぜか全裸に。
そしてさらに他のキャラも技を繰り出し、その技が主人公と私を圧倒していく。

と、思った瞬間、場面は切り替わり、自転車の二人乗りをした男女(女性の顔はぼかされている)が現れた。
女性キャラに甘いセリフをささやく男性キャラ。女性のセリフは音声ではなくなぜか文字で表示されている。
これは視聴者側に読めということか。そういえば応援上映でアフレコOKとかそういった情報もあったなぁ。
うわぁなんだか場違いなところに来てしまったぞ…と思いつつ耐える。
3人の男性アイドルがそれぞれの二人乗りを披露した後、E.T.よろしく自転車ごと空を飛んでいく。
そして、極めつけの一言。
「公道での二人乗りは禁止だよ♡」

ブフーッ

散々二人乗りしていてこのセリフである。この辺りから笑いを堪えるのが辛くなってもう限界を迎えていた。
開始からわずか5分程度の出来事である。

「な、なんだこれは~!!」
と叫ぶ主人公。全く同意しかない。

完全にその世界観に圧倒された。
私と同じく圧倒された主人公はプリズムショーを行うスタァになるべく専用の学校に通うことになる…という話らしい。

その後は原作の回想などを交えつつストーリーが進んでいくのだが、"空から剣が降ってきて""EZ do danceが流れる中、龍が舞って腹筋が割れる""尻から蜂蜜""電車に乗ってハリウッドに行って星座になる"という事前情報がすべて現実になっていって正直何がなんだか分からないまま初めての鑑賞は終わった。

4.沼への一歩を
自分が観たものはいったい何だったのか、いや、確かになんだかすごいものを観た。
とにかく情報量が多かった。面白かったか否かを問われれば、面白かったと思う。いや、解らないが、とにかく頬の肉が痛いということは私はずっと笑っていたのだろう。
「プリズムショーはみんなを笑顔にするんだ」
と作中のキャラクターが言うが、まさに私は上映中ずっと笑顔だった。
だが、2回目はないなと思ったのだ。思ったはずだった。
その日、帰宅した私は、キンプリを観た人のレポートを読み漁り、応援上映という形態に興味を持ち、一度試してみるのも楽しそうだなと思ったのだ。そして、少しの予習をし、ペンライトを用意し、次の視聴に挑んだのだった。

5.応援上映
応援上映、予習して挑んだはずだったが、映画につきものの予告CMから応援が始まるなんて知らなかった。
私はもう、上映前から腹筋が死亡していた。
映画泥棒の映像に合わせて赤いペンライトを振る観客、という異様な光景は私に衝撃を与えた。

上手く応援できるのかとか、キャラクターの名前もそれぞれのテーマカラーもろくに覚えてない、なによりペンライトは3色しか持っていないとかそういったことを気にしていたが、それは杞憂だった。
その場のノリが楽しすぎて、もうどうでもよかった。
またこの応援上映に参加したいと思った。
そして、実際に参加するにつれ、参加者の練度が上がり、また他の地域から伝わった応援などが加わったりし、応援上映そのものが進化していく過程が面白かった。

6.笑いから感動へ
何度も応援上映を楽しむうちに、作品についてもっと知りたくなった。
原作のプリティーリズム・レインボーライブから男性キャラ主体の話を抜き取ったDVDを観て理解は少し深まったが、それでも足りないと思い、某動画サイトの公式配信で原作のすべての話を視聴した。
それは、私が想像していた"女児向けアニメ"とは程遠い人間ドラマで、より深くキンプリでの人間関係が理解でき、笑える楽しい映画から一歩進んで、感動できる映画へと私の中で進化していった。
また、この作品を支えてきた初期からのファンや製作スタッフの熱い思い、興行収入がふるわず、一時は苦境に立たされたことなども私のこの作品への想いを変えていった。

7.キンプリを観てください
私のように、"女児向けアニメ""男性キャラ主体のスピンオフ"というキーワードで、この作品を敬遠している人がいるとしたら、それはもったいないことだと思う。
キンプリは全年齢、男女問わず楽しめるエンターテインメントだと思う。
詰め込みすぎとも言えるが一切の無駄がない構成。懐かしい小室ソングがまるでキャラクターソングのように流れるところ。ぶっ飛んだショーの演出。少年漫画のバトルのような展開。友情と別れ。
実は王道のストーリー。それがキンプリなのだ。

まるでGガンダムの石破ラブラブ天驚拳を延々と喰らい続けるような濃い演出は人を選ぶのは分かっているが、それでも、やはり一度観て体験してほしい。
この作品を作った人たちの情熱を肌で感じてほしい。

続編制作が決定した今からなら間に合う。
キンプリからでもプリティーリズム・レインボーライブからでもいい、キンプリを観てください。
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